【初心者向け】
アトピカ完全ガイド!これさえ読めば安心!

アトピカ(別名・シクロスポリン)は、愛犬のかゆみを抑えるアトピー性皮膚炎治療薬です。
効き目が表れるまでに1ヶ月ほどかかりますが、その分、治療効果が高く副作用のリスクも高くありません。
そのため、効き目と安全性を気にされる飼い主さんも安心して愛犬に与えられます。
とはいっても、やはりアトピカのことを何も知らないまま飲ませるのは心配ですよね。
そこで、ここではアトピカの特徴や使用方法を説明したいと思います。
目次
アトピカとは?

アトピカは、犬のアトピー性皮膚炎の治療薬です。
主成分であるシクロスポリンは元々、人間の臓器移植の拒絶反応を抑えるために使われていました。
しかし低用量であればアトピー性皮膚炎の治療にも使えることが分かり、2005年に犬のアトピー性皮膚炎の治療薬としても使われ始めたのです。
そんなアトピカには、次のような効果があります。
効果

アトピカは、免疫抑制薬のひとつです。
免疫とは、体内に入ってきた病原菌や毒素などから身体を守る機能のことです。
ですがアトピーにかかった犬の場合、本来は無害である花粉やダニにも、この免疫は過剰に働いてしまいます。
免疫抑制薬には、その過剰な 免疫を抑制する働きがあります。
そうすることで花粉やダニに反応しなくなり、結果としてかゆみも起こらなくなる、というわけです。
特徴
アトピー性皮膚炎の治療薬には、アトピカの他にもいくつか種類があります。
- アポキル
- プレドニゾロン
3種類とはいえ、選択肢が多いとどれを選べばいいのか分かりませんよね。
カタカナばかりだし、アトピカとアポキルなんて名前の見た目ほとんど一緒だし……。
そこで今回は次の比較表をもとに、アトピカの特徴をひもときたいと思います。
アトピカ (シクロスポリン) |
アポキル | プレドニゾロン (ステロイド) |
|
---|---|---|---|
安全性 (副作用の少なさ) |
○ (一過性の軽い嘔吐・下痢) |
○ (軽度の嘔吐や下痢) |
✕ (多飲多尿、食欲異常など) |
効き目が表れる時間 | 1ヶ月程度 | 4時間 | アポキルと同等 |
価格(10kg小型犬) | 約500円/日 | 約250円/日 | 100円/日 |
表の通り、アトピカは副作用が少なく、安全性が高いのが特徴です。
飲み始めに軽度の嘔吐や軟便が起こることがありますが、飲み続けるうちに自然と治まっていき、それ以降はほとんど起こりません。
値段が少し高く、「効き目が表れる時間」も1ヶ月程度と遅いのが難点ですが、その分、ワンちゃんのアトピーを安全に治療することができます。
- 「すぐにかゆみを抑えてあげたい!」という飼い主さん → アポキル、プレドニゾロン
- 「副作用で愛犬を苦しめたくない!」という飼い主さん → アトピカ
というように、飼い主さん自身が重視していることは何かを考え、薬を選ぶようにしましょう。
アトピカの使用方法

アトピカは1日1回、食後2時間経ってから愛犬に投与してください。
1回あたりの投与量は、体重1kgあたり5mgです。
愛犬の体重を測り、それに応じて投与量を決めましょう。
…と言われても、いまいちどうしたらいいか分からないですよね。
そこで体重ごとの投与量一覧を以下に掲載しました。
アトピカは主成分シクロスポリンの成分量によって10mg/25mg/50mg/100mgの4種類に分かれています。
どの種類を飲ませればいいか分からないときも、以下の一覧表を参考にしてください。
犬の体重 | 1回あたりの投与量 (カプセル) |
---|---|
体重2kg以上3kg未満 | 10mg×1 |
体重3kg以上4kg未満 | 10mg×2 |
体重4kg以上8kg未満 | 25mg×1 |
体重8kg以上15kg未満 | 50mg×1 |
体重15kg以上29kg未満 | 100mg×1 |
体重29kg以上36kg未満 | 50mg×1 100mg×1 |
体重36kg以上55kg未満 | 100mg×1 |
アトピカの注意点

アトピカは副作用の少ない、安全性の高い薬です。
ですが服用の際にいくつか注意しなければならないことがあります。
1つ目が、飲み合わせに注意が必要な薬 ― 「併用注意」の存在。
2つ目が、犬の健康状態などによっては服用自体が禁じられることです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
併用注意(併用禁忌)
併用注意とは、ワンちゃんにアトピカを飲ませるときに、なるべく一緒に飲ませるべきでない薬のことです。
併用注意の薬とアトピカを飲み合わせると、犬の体に何らかの悪影響を及ぼす恐れがあります。
難しい言葉がたくさん出てきますが、ワンちゃんに与えている、あるいは与える予定の薬があるかどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。
アトピカの併用注意薬
腎臓に害を与える恐れのある薬
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤:鎮痛作用や解熱作用をもつ薬
- 新キノロン系合成抗菌剤:尿路感染症、腸管感染症などの薬
- アミノグリコシド系抗生物質:皮膚感染症や慢性膿皮症などの薬
- サルファ剤・トリメトプリム合剤:肺炎や腸炎、膀胱炎などの薬
アトピカ・併用薬の効き目が強まる恐れのある薬
- カルシウム拮抗剤:高血圧や狭心症の薬
- メトクロプラミド:消化器機能異常の薬
- 炭酸脱水素酵素阻害剤:緑内障などの薬
- キサンチン系気管支拡張剤:ぜん息の薬
- 副腎皮質ホルモン剤:皮膚炎などの湿疹やかゆみを抑える薬
- マクロライド系抗生物質:マイコプラズマやクラミジアなどの薬
- アゾール系抗真菌剤:白癬菌やカンジダなどの真菌に作用する薬
- クロラムフェニコール系抗生物質:グラム腸性菌、陰性菌、クラミジアなどの薬
その他、注意を要するもの
- 抗てんかん剤
- ジギタリス強心配糖体:心不全や不整脈の薬
- カリウム保持性利尿剤:むくみや血圧を改善する薬
- アトピカ以外の免疫抑制剤
飲ませてはいけない場合
ワンちゃんの年齢や健康状態によっては、アトピカの投与が禁止されることがあります。
次の項目一覧をしっかり確認し、間違って与えてしまわないように気をつけましょう。
アトピカの投与が禁止される場合
- 体重2kg未満
- 年齢が6ヶ月齢未満
- 妊娠期間中および授乳期間中
- 糖尿病が疑われる場合
- 皮膚、全身に感染症がある
- 食物アレルギー・ノミアレルギーがある
まとめ
アトピカは、治るまでの期間が長い分、副作用をほとんど起こさない安全なアトピー治療薬です。
ですが与え方を間違えると予期せぬ副作用を起こす可能性があります。
心配な方は投与前にかかりつけの獣医師さんにご相談くださいね。
用法用量をしっかり守り、安全に愛犬のアトピーを治しましょう!